「農業開発協力と保健医療教育をつなぐ試み
――カンボジア農村の貧困と保健医療費問題――」
米倉雪子
この論文はNGOによる農業の開発事業がかならずしも保健医療活動と同時に実施されるわけではないということを前提においており、農業開発事業によって貧困削減に効果を上げるには医療費削減のための保健医療の改善が必要であるということを考察したものである。
論文輪読が行われる以前まで私は、農業開発事業というプログラムから貧困削減に効果を上げるには、農業開発そのものに対して支援をすることが当たり前だと考えていた。しかし、このカンボジアの事例では生産活動に対して改善を加えるのではなく、農民の生活・家計に着目することによって、本当に家計を圧迫しているものは医療費であるということが示された。つまりは開発支援云々ではなく、その根本的な問題に着手することにより、目的である貧困削減へと近づこうという手法を提示しているのである。
他にも、貧困が巻き起こす負のループや、農村に介入して家計について指導を加えるなどの著者まとめた内容が紹介された。
私たちが最善だと考え支援した事業であっても本当に必要とされている支援、介入、事業とは何なのかを、支援国目線ではなく、被支援国目線に立って考えることが重要だと考えさせられた論文輪読だった。最終回にふさわしい題材の論文内容であったと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿