2012年6月10日日曜日

6月6日 スタジオ第7回 その2

論文輪読  

その1からの続きです!!
1をご覧になっていない方はぜひそちらもご覧ください^^
 
ちなみに論文は、検索すると出てくると思いますので、
気になる方はぜひ読んでみてください\(^o^)


①「青年海外協力隊におけるものづくりの意義」


タイトルのとおり、この論文では青年海外協力隊の活動のうち、
ものづくりに関することについて触れています。

論文の主旨

ものづくりキャパシティ・ディベロップメントに効果的であるか?」

ものづくり:原材料を二次的に加工して付加価値をつける手工業の中で、
主に家庭や地域で可能な生産活動のこと。

★ものづくりには、(協力隊や地元民)、モノ(材料など)、
資金情報(何を教えるか)が不可欠です!

キャパシティ・ディベロップメント:個人、組織、社会が、
自立発展する能力を獲得し、それを高め、維持していくプロセスのこと。

★近年の援助では、特に重要視されています。
 
つまり、支援が終わっても、地元民だけで継続して行うことが
できるものづくり求められているのです!

そんなものづくり活動は「教室型」「村落型」の二種類に分けられます。
それぞれの事例を見てみましょう!


①「教室型」のものづくり

ENFEFS(セネガルの職業訓練施設の一つで、設備の整った家政系の最高学府)
の事例。隊員4名が、アフリカらしい刺繍の考案、
セネガルの伝統刺繍「ブジュンブラ」の普及等の活動に携わったそうです。
 
成果

・“言葉の壁”の問題がものづくりの中で軽減された
・題材の選択肢が増やされた
 
問題点

・教えたことが書かれている本を貸せば人はいらないのではないか?
・現地の教師の仕事を奪っているのではないか?
・環境が整っていたからできただけで、他の地域ではやれないのではないか?
 
②「村落型」のものづくり

Keur Selle Kamara村でのE隊員の活動の事例では、
まず人の話を聞くという基本的なことから指導したそう。
そこからビーズ商品を作り、販売する方法を教え、
販路・運搬の支援もしたそうです。
 
成果

・村民が商売感覚を身につけ、その後も生かしている

問題点

・材料を集められない
・そもそも利益の計算ができなかった
(※村民の能力を見極める必要性がある)
 
結論

①②の事例のように、援助される側が自ら判断する機会が多く、
また新たな世界に踏み出すきっかけとなるので、
この活動は個人・社会のキャパシティ向上に貢献できる活動と言えます。
ただし問題点が多いのも事実です。


②「パラグアイの幼児教育改革(1)」

パラグアイは、地方に行くほど貧困がひどくなるという状況下にあります。

そこで今求められるのは

民主主義1992年、実質民主化)との共存性を高めること
国内の労働競争力の向上により、貧困を減少させること

具体策としては
教育の普及率、教育の質、教育制度の効率性・平等性の改善、教員の質的向上
など。

★教育の水準を底上げし,「貧困の連鎖」を断ち切るこが重要視されています!

国際的にも教育政策が行われており、一部紹介すると

子どもの権利条約〈1989
 →子どもにも権利があると定義

「万人のための教育」世界会議〈1990
 →2015年までに世界中の人々が字を読めるようになる環境整備を
  しようとする取り組み

パラグアイ国内でも教育政策が行われており、これも一部紹介すると

国家憲法〈1992
 75条「教育を受けることは社会的責任であり、各家庭、市町村などの自治体、
    そして国家政府がそれを保証する」

 など、他にも73・76条などで教育に関して述べられています。

教育基本法〈1998
  ①民主化の強化 ②貧困と差別階層の格差是正 ③全国民への雇用の提供
 が挙げられました。
 しかし、就学前教育は無償でも、義務、強制ではなく
「義務的」にしか定まっていないというのが問題となっています。

幼児教育の実際の現場においては、

「幼児教育・国内ネットワーク」2001〉が形成されています。
これは教育省と現場とのコミュニケーションと活動の連携・協力を
より滑らかにするシステムです。

そこから浮き彫りになるのは「就学率・質・公平さ」
問題があるということ。
特に教員免許を持っている教師は、全体の20%でしかないのだそうです。
これでは教育の質が下がったり、差が出たりしてもおかしくありません。

他にも公立学校は誰でも入れるが、質が悪く、
教師がいないこともあるという問題が。
それに対して私立学校にはお金持ちしか通うことができない。
都市と地方の貧困の格差を考え、
地方に気を配ったあり方が今求められています。


③「教育ODAの経験と課題」

ODA=政府開発援助(Official Development Assistance

国際貢献のために先進工業国の政府及び政府機関が
発展途上国に対して行う資金・技術提供による協力のこと。

このODAの評価基準となっているのが

DAC評価5項目

①妥当性 ②達成度(有効性) ③効果(インパクト)
④効率性 ⑤自立発展性

評価が高い順は②>③>①>④>⑤
しかし最も重要で、達成しにくいのは⑤自立発展性

たとえば学校という施設を建設することは②達成度ですが、
建設後に学校を運営・持続させる⑤自立発展性の方が現実的には重要です。
しかし⑤を達成するのは容易なことではありません。
日本の支援は②に偏ってしまい、最も重要な⑤には
あまり貢献できていません。

そこで必要なのが
ニーズにあった援助をするということ!
丹念に下調べし、地域に寄り添った援助をすることが
求められているということです。

★学校などの設備建設は教育改善のための“手段”ですが、
 “目標”にはなり得ないことに注意しなければなりません!

またハードソフトの両面からアプローチすることも大切です。

ハード:施設建設、資材の供給など
ソフト:カリキュラムの作成・配布、教員の育成と現職訓練、通いやすい仕組み等

特にソフト面への援助は、被援助国の人々の知恵として残るため、
長期的な効果が期待できます。

そして、住民に「自分たちの学校なのだから、自分たちで維持管理する」
という意識を持ってもらうよう工夫することが大切になってきます。



以上が長くなってしまいましたが、論文輪読のまとめです^^
発表した三人はお疲れ様でした!!
次週も論文輪読が続きます\(^o^)/

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